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「浸水対策ナビ」マガジン
防水板の止水性能基準とは。漏水量はどのくらい?
「浸水対策ナビ」マガジン【No.15】
今年の夏も全国的に豪雨が頻発し、大雨やゲリラ豪雨を起因とする水害リスクは年々高まりつつあります。 例年、戸建て住宅や店舗、大規模な施設への浸水も後を絶たず、建物の開口部から雨水の流入や地下空間への流入を防ぐ防水板(止水板)の重要性が高まっています。

しかし、防水板(止水板)をいざ導入しようとしても、「種類が多く、どうやって選べばよいかわからない」というお問い合わせをいただきます。

そこで今号では、浸水対策に欠かせない基礎知識や防水板の導入方法などを解説いたします。

水害に備える防災アイテムとしての防水板(止水板)

身近な浸水対策では土のうが使われますが、調達や設置に手間が掛かり、積む際のコツも必要です。
そこで浸水対策の主なソリューションとして挙げられるのが、防災用品の防水板(止水板)です。
防水板とは、建築物の中や地下などに、雨水が侵入するのを防ぐためのパネルなどを指します。
水害への備えとしては、建物エントランスなどの出入口、地下施設の出入口、駐車場前、電気室、ポンプ室に設置するのが一般的です。

本項では、防災アイテムである防水板の性能や選び方について解説していきます。

【基礎知識】防水板(止水板)の「漏水量とは」


水害用の対策設備として、多くのメーカーが防水板(止水板)を扱っています。簡易型の止水板から高性能な製品まであらゆるラインナップが提供されていますが、設置場所に適した防水板(止水板)を選ぶうえで、止水性能の高さも評価のポイントになってきます。ここでは、止水性能の基準についてご説明します。

防水板の止水性能を確かめるうえで、重要な基準となるのが「漏水量」です。
漏水量の単位としては主に 〇ℓ/(h・㎡) で表示されており、1時間(h)に水圧面積(㎡)あたりに漏れる水量(ℓ)を意味しています。また、水量(ℓ)を体積(㎥)で表している場合もあります。
(参考:1ℓ=0.001㎥ 10ℓ=0.01㎥ 100ℓ=0.1㎥ )

こうした基準の大小から、防水板(止水板)がどの程度の止水性能を有しているのかを知ることができます。

防水板(止水板)を導入する際によくある疑問

止水性能の表記が会社によって違うので見方がわからない


各メーカーが製造・販売している防水板(止水板)には、異なる止水性能の表記が見られます。そこで、比較しやすい基準として第一に挙げられるのが「JIS A 4716規格」です。漏水量によりWs-1~6の等級に分けられており、その他、耐水圧性能、操作の容易性、開閉性能などが定められています。

漏水量が50ℓ/(h・㎡)を超え200ℓ/(h・㎡)以下を示す「Ws-1」が低いランクとなり、止水性が最も高い「Ws-6」は漏水量が1ℓ/(h・㎡)以下に与えられる最高ランクの等級です。
JIS A 4716規格は「シャッター型」と「ドア型」のみのため、脱着タイプは規定外となっています。そのため、弊社の「脱着タイプ」はWs-〇”相当”と表記しています。

そのほか、(一財)建材試験センターの試験方法による技術評価を受け、「技術評価等級」を表記するケースもあります。

漏水量の等級基準については、下表をご参照ください。

1時間あたりの漏水量イメージ(水圧面積㎡あたり)

防水板がどの程度の水害に対応できるのかを知るためには、メーカーが公表している漏水実験の測定結果を参考にしましょう。
また、性能表示がないメーカーの製品に関しては、漏水量が想定よりも多いことがある点に要注意です。

どの程度水が漏れるものなのか?具体的な性能を知りたい


株式会社鈴木シャッターが提供している防水板「オクダケ」はWs-2相当ですが、試験値では33.6ℓ/(h・㎡)です。簡易脱着タイプながら水位50cm、幅2mのとき、1分間あたりの漏水量に換算すると0.56ℓと、500mℓのペットボトル1本程度に抑えることができます。

水張り実験の様子や漏水状況は、以下の動画をご確認ください。


また、「オクダケ」の止水性能は土のうの約100倍となるため、1分間の漏水量比較においても、土のうの場合は500mℓペットボトル100本程度と、大きな差があることがわかります。


このように、防水板の止水性能を実験の上、結果を公表しているメーカーの製品を選ぶのがおすすめです。

防水板(止水板)を導入する際のポイント

水害対策のために防水板(止水板)を導入する際は、以下のポイントを確認の上、設置場所に必要とされる性能に合わせた製品の選択が重要です。

・地域の水害危険度を調べる
・浸水対策が必要な箇所を調べる
・設置する防水板(止水板)の漏水量を調べる

地域の水害危険度を調べる


まずは地域の自然災害リスクをハザードマップなどで確認しましょう。ハザードマップは、地域ごとに過去の災害や降雨データをもとに作成され、河川の氾濫、内水氾濫、津波などによる浸水予想状況や各地域の避難所が記載されています。
防水板の導入を検討するにあたっては、建物周辺エリアの推定される浸水の深さなどを知ることが大切です。

浸水対策が必要な箇所を調べる


どの程度の浸水被害のおそれがあるか、また、浸水水位を想定した水の侵入経路を確認し、防水板などの対策が必要な場所を調べましょう。
特に、地下施設や電気室、ポンプ室など、浸水すると被害が大きく、復旧に時間がかかると予想される場所については、高性能の防水板を選ぶなど、BCP対策として検討しておきたい場所です。

設置する防水板(止水板)の漏水量を調べる


防水板(止水板)は、場所や用途によって選び方が変わってきますが、基本的には「漏水量による等級」を確認し、高い等級のものを選ぶようにします。
一方で、高性能の防水板は導入コストも比例してアップするほか、設置工事やセットが大掛かりになることもあるため、注意が必要です。

多少の漏水があっても浸水をスピーディーに防止するのが目的であれば、耐久性やコストパフォーマンスが高く、セットに負担の少ない製品を選ぶとよいでしょう。

漏水量による等級及び使用場所の目安
単位平米あたりの漏水量JIS規格
「JIS A 4716」の等級
等級に応じた使用場所の目安
(JISの解説より)
1ℓ/(h・㎡)以下Ws-6最も浸水防止性能が高い。
重要度が高く、できる限り浸水を防止したい場所に用いる。
(電気室、ポンプ室など)
1ℓ/(h・㎡)を超え
4ℓ/(h・㎡)以下
Ws-5
4ℓ/(h・㎡)を超え
10ℓ/(h・㎡)以下
Ws-4
10ℓ/(h・㎡)を超え
20ℓ/(h・㎡)以下
Ws-3最も一般的に用いられる浸水防止性能。
浸水に対して比較的重要度の高い場所。
(機械室、一般家庭など)
20ℓ/(h・㎡)を超え
50ℓ/(h・㎡)以下
Ws-2
50ℓ/(h・㎡)を超え
200ℓ/(h・㎡)以下
Ws-1比較的簡易な浸水防止用設備。
一般的な土のうよりは浸水防止性能は高い。
多少の浸水を許容できる場所又は排水設備が設置されている場所。(倉庫、駐車場など)

まとめ

本記事では、企業の水害対策に欠かせない「防水板」の選び方から導入の流れまでをご紹介しました。大雨や台風による災害が大きな脅威となっている中で、社員の安全を守るためにはBCP策定をはじめとする事前準備が欠かせません。

浸水対策アイテムの選定・設置によって、浸水による経済的な損失を極力抑えられるでしょう。しかし、止水性能が高いからといって建物内は絶対安全というわけではありません。人命にかかわる場合や想定外の水位に達する可能性もあり得るので、 浸水前に避難するといった判断も含めた浸水防止計画の策定が大切です。

株式会社鈴木シャッターでは、弊社スタッフが現場調査を行い、お客様にとってベストな浸水対策をご提案しています。長年にわたって防水板を自社で開発・製造・販売・施工しているほか、定期点検やメンテナンスなどのアフターフォローも充実しています。大切な資産を浸水被害から守るためにも、まずはお気軽にご相談ください。

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