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「浸水対策ナビ」マガジン
実際に浸水被害を受けるとどうなる?
過去の被害から学ぶ浸水対策
「浸水対策ナビ」マガジン【No.26】
近年、雨の降り方が激甚化しており、数十年に一度の記録的豪雨という言葉をニュース等でよく耳にするようになりました。
これまで浸水被害の無かった場所でも、今後浸水被害の発生が懸念されます。
命の危険が迫るような状況では避難が最優先となりますが、建物への浸水被害が起きると建物の復旧や日常生活を取り戻すまでに多くの時間と労力がかかり、健康被害や費用面でも大きな負担となります。
本記事では、浸水被害の種類や過去の事例などを紹介します。浸水対策の方法も解説しますので、浸水被害への対策について不安な方はぜひ参考にしてください。

浸水被害の種類

浸水とは、住宅や施設などに水が入り込み、建物が水に浸かる状態のことを指します。入り込んだ水が少量でも、建物に侵入してきた時点で浸水とみなされるのが一般的です。
浸水被害を発生させる原因は「外水氾濫」と「内水氾濫」に分類されます。こちらでは、それぞれの特徴について解説します。

外水氾濫と内水氾濫
外水氾濫は、長時間の雨で河川の水位が上がり、堤防から水が溢れて決壊した際に発生します。大規模な河川が氾濫した際には大量の水が街に流れ込むため、建物や人に甚大な被害が及ぶ危険性があります。
それに対して内水氾濫は、大雨によって排水が間に合わなくなり、下水道などから溢れた水が浸水被害を引き起こす状態のことです。台風やゲリラ豪雨などで局地的な大雨が降ったときに発生しやすく、付近に河川がなくても水害が起きる可能性があります。


内水氾濫は、雨水が染み込みにくいコンクリートやアスファルトで覆われた都市部で起きやすいのが特徴で、水害被害額をみると、東京都では約7割が内水氾濫となっています。(下記グラフ参考)

■過去10年間の全国の水害被害額と浸水棟数

引用:国土交通省「近年の降雨及び内水被害の状況、下水道整備の現状について」

過去の浸水被害の事例

対策方法を検討する際には、これまでに日本で発生した浸水被害の事例をもとに検討することが大切です。こちらでは、過去に実際に起きた浸水被害の事例を業種・施設ごとに紹介します。

■飲食店での浸水被害|食品・大型冷蔵庫の廃棄

2023年7月、秋田県内で発生した大雨により、秋田市中心部の飲食店に浸水被害が発生しました。秋田市内の繁華街に店を構える割烹料理店では、川に面する外壁に設置していた室外機が水を被ってエアコンが使えなくなったり、備品などを保管していた地下室に膝上ほどの浸水が起きたりしています。
その他にも、玄関やレジ周りが浸水し、注文を受ける機器などが被害を受けた洋食店や、泥水が入り込み店内が泥まみれになったつけ麺店など、店舗によってさまざまな被害を受ける事態となりました。

飲食店が浸水した場合には、感染症を防ぐために徹底した掃除・洗浄・消毒を行わなければならず、復旧には多大なコストがかかります。

■工場での浸水被害|被害額が9,000万円以上

2023年9月、茨城県で発生した記録的大雨により、茨木市内の水産加工工場が浸水被害を受けています。近くにある川が溢れたことで工場4棟が全て浸水し、生産用機械などの精密機器が使えなくなる事態に陥りました。この浸水による被害額は9,000万円以上にものぼり、機械メーカーから生産機械の無償提供を受けながら復旧に努めているものの、工場の全面再開には長い時間を要すると考えられます。

詳しくはこちら:「工場や倉庫が行うべき台風対策とは」 浸水対策ナビマガジンNo.13へ→

■駅での浸水被害|運転見合わせ

2018年8月、東京都内で局地的な豪雨が発生しました。京王井の頭線の久我山駅では雨が構内に流れ込み、エレベーターが一時冠水する被害が起きています。駅員によって入り口に土のうを置くなどの対策が行われましたが、富士見ケ丘~吉祥寺駅間で一時運転を見合わせることになりました。

■学校での浸水被害|職員室の教材・書類が水浸し

2019年10月に発生した台風19号では、栃木県にある工業高校の校舎が洪水によって浸水しました。この浸水により、1階の職員室に保管していた教材や重要書類が水浸しになるなどの被害が発生しています。この浸水被害を経て、災害復旧時の大規模改修では職員室を2階の会議室へ移すことになりました。

■マンションの地下への浸水被害|電気設備を取り替え

2019年の台風19号では、多摩川の水位上昇により堤防のない場所で水が溢れたり、内水氾濫が発生したりしました。溢れた泥水は武蔵小杉駅周辺にあるタワーマンションに流れ込み、地下の電気設備が浸水したことで停電と断水が発生する事態に陥っています。この影響でトイレやエレベーターが使えなくなり、多くの住民は電気設備の取り替えまでに1週間以上不自由な生活を強いられることになりました。

浸水被害への対策方法

浸水被害に遭うと、設備の復旧に費用がかかるだけでなく、店舗や企業の業務も停止してしまうため、大きな経済的損失にも繋がります。 被害を最小限に抑えるためには、建物や地域で想定される被害リスクに応じた行動計画と事前の備えが大切です。

【企業における水害対策の例】
・ハザードマップを確認する
・建物の水の浸入経路や電気設備のある場所を把握する
防水板(止水板)設置や土のう・水のうなどの浸水対策をする
・避難経路や避難場所の確保、防災備蓄品の整備、防災マニュアルを策定する

詳しくはこちら:「線状降水帯とは?豪雨への備えと対策」 浸水対策ナビマガジンNo.12へ→

■防水板(止水板)設置や土のう・水のうなどの浸水対策

土のうや水のうは、下水からの水の逆流を防ぐための蓋として使用したり、出入口に積み重ねて外部からの浸水を防ぎます。ただし、土のうや水のうを積み上げる際には労力が必要なうえ、上手く積み上げなければ水圧で崩れたり隙間から水が流れ込んだりする事も考えられるため、設置する際に人手が少ない場所や開口幅が広い部分は、防水板(止水板)に置き換えるのがおすすめです。特に、建物の開口部、電気設備のある場所など、しっかりと守るべき場所に適しています。

浸水被害に備えるためには防水板(止水板)の選び方が大切

防水板には、シート式や着脱式、上部収納式、起伏式、防水シャッター、防水扉などの種類があり、設置場所や用途によって選び方が異なります。こちらでは防水板の費用や導入時のポイントについて解説します。

■防水板導入の費用目安

防水板の導入費用は、必要な開口幅や高さによって金額が変動しますが、安いもので約30万円、高いものでは数百万円以上かかるものもあり、誰でも手軽に導入できる値段とは言えないでしょう。しかし、浸水が発生した際の被害総額よりも安くなる可能性は十分にあります。まずは現地調査を行い、見積もりを取って費用を確認してみてください。
また、自治体によっては防水板の購入や設置工事費用の一部を助成する制度を設けています。例えば、東京都板橋区では防水板設置工事などにかかった費用の1/2以内、1つの建築物に対して50万円を上限とした助成を行っています。このような制度を利用することで費用負担を軽減できるため、防水板の設置を検討する際には、該当地域での助成制度の有無や、その他の助成制度についても確認してください。

詳しくはこちら:
「うちにも使える?「助成金」を知って賢く浸水対策」 浸水対策ナビマガジンNo.25へ→

防水板導入時のポイント

防水板(止水板)を導入する際には、以下のポイントを意識しましょう。
●近隣の自然災害リスクをハザードマップで調べる
●浸水対策が必要な箇所を調べる
●設置する防水板(止水板)の漏水量を調べる

●近隣の自然災害リスクをハザードマップで調べる
まずは、建物のある場所の特性を知り、必要な浸水対策の方法を検討する必要があります。そのために確認したいのが、地域のハザードマップです。ハザードマップを見ることで、河川の氾濫や内水氾濫などにより想定される浸水の高さが確認できます。地域によっては過去の浸水マップや内水ハザードマップを公開している自治体もありますので、建物の周辺で過去にどのような災害が起きたのか、雨後にどれくらい水が溜まりやすいかなどを調べておくと、浸水対策を立てやすくなるでしょう。

●防水板を設置すべき場所を調べる
次に、建物内で浸水被害の危険性が高い場所や、浸水後の被害が大きくなりやすい場所を確認します。電気設備のある部屋や地下階段の入り口など、浸水による被害が特に大きくなりそうな場所には高性能の防水板を設置するなど、場所や状況に合わせて防水板の種類を選ぶようにしてください。

●防水板の漏水量を調べる
防水板(止水板)の種類やメーカーによって漏水量は異なります。漏水量の単位は主に「〇ℓ/(h・㎡)」で表示されており、1時間(h)に水圧面積(㎡)あたりに漏れる水量(ℓ)を意味しています。また、水量(ℓ)を体積(㎥)で表示することもあります。
こうした漏水量における基準の大小から、防水板に備わった性能を確認できます。高性能な防水板は導入コストも比例してアップするため、場所や目的によって適した製品を選びましょう。

詳しくはこちら:
「防水板の止水性能基準とは。漏水量はどのくらい?」 浸水対策ナビマガジンNo.15へ→

鈴木シャッターの防水板の導入事例

ここからは、実際に鈴木シャッターの防水板を導入いただいた事例をご紹介します。防水板設置を検討される際にはぜひご参考になさってください。

■印刷事故ゼロを維持するために防水板を導入

ドラマやバラエティー番組など各種台本の代行入力から発送まで一貫して行う印刷会社、株式会社シナリオプリント様では、水害による印刷事故を防ぐために防水板を導入されました。
株式会社シナリオプリント様が取り扱う台本はスピードが求められるため、基本的に「翌日納品」で対応されています。しかし、「翌日納品」は印刷事故ゼロが前提のため、機械の故障はもちろん、災害による事故も未然に防がなければなりません。
そこで、品川区の助成金制度も利用して、鈴木シャッターの防水板アピアガード「オクダケ」を導入していただきました。1枚のパネルが軽いため、設置が簡単で社員1人でも対応できるとご安心いただいております。

詳しくはこちら:
「防水板の備えが経営リスクを回避し、会社の信頼を守る
【事例】東京都・株式会社シナリオプリント様」  浸水対策ナビマガジンNo.23へ→

■土のうでの浸水対策に限界を感じて防水板を導入

近年の集中豪雨によって、浸水被害の心配が増えたテナントビル「ガーデンアイ」様は、これまでは土のうで浸水対策をされていました。しかし、毎回の設置が大変なうえに、使用後の悪臭にも悩み、土のうでの対策に限界を感じて防水板を設置されました。

詳しくはこちら:
「手軽に浸水対策ができるようになり、ほんとうに心まで軽くなった。」
浸水対策ナビマガジンNo.14へ→


まとめ
台風や豪雨による浸水被害は年々増加傾向にあり、十分な対策をすることが重要視されています。被害が起きる前に防水板などで浸水対策を行うことで、甚大な経済的損失を負うリスクを抑えることができます。
鈴木シャッターでは、簡易的な着脱タイプの防水板から防水扉まで、さまざまな防水商品を取り揃えております。浸水によって被害を受ける前に、防水商品の設置の計画を進めましょう。年末の予算取り、来年に向けて、ぜひご検討ください。

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